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慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

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CKDドクターになること

林晃一

なぜいまCKDか → 社会的・医療経済的インパクトの大きさ!

従来より慢性に持続する腎障害の定義が数多くあり、そのなかで腎機能が低下したものを慢性腎不全としていました。一方、ここ数年間に慢性腎障害の存在そのものが心血管イベントのリスクとなり、しかも蛋白尿や微量アルブミン尿の出現ですら心血管イベント発症を増加させることが証明されています。むしろ、末期腎不全により透析療法を受けている患者における心血管イベントの頻度よりも、透析療法に入るまでの段階で起こる心血管イベントの頻度の方が多いとの統計結果が報告されています。
この病態の重要性をより一般人に普及する目的で、慢性腎障害に対する取り組みとして、欧米ならびに日本でも慢性腎臓病(CKD)の定義が示されました。その定義では、尿異常、画像・血液・腎病理異常や、GFRが60min/ml/1.73m2未満という、いたって簡便なものです。とくにGFRが60ml/min/1.73m2未満の比率の統計をみると、なんと20歳以上の成人の5人にひとりがCKDであるという驚くべき結果が示されました。
一方、国家財政の面からみると、CKDに関連する医療費はすでに4兆円を超えており、この数値は総医療費の12%、国家予算(80兆円)の5.1%にあたり、また防衛予算(6%)にほぼ匹敵します。したがって、CKDによる心血管事故に伴うコストを考えますと、これらの統計上の値のインパクトは医療面だけでなく国家予算の面を含めた社会問題としてとらえなければなりません。

CKD治療の新展開とは → 代謝病+心血管病としてとらえるべき!

いままでの腎臓病治療を思い浮かべると、ステロイド・抗血小板薬治療が慢性腎炎に使われていました。しかし、これらの治療だけでは十分な効果が発揮できなかったため透析医療に移行する患者が年々増えていました。一方CKDの原疾患が時代とともに変化しており、いまや糖尿病がCKDの重要な供給源となりそれに高血圧・動脈硬化が後押ししている状況となりました。これらに疾患はいずれも心血管病を伴い、この治療知識なしにはCKDは治療できません。最近、多くの治療ガイドラインが発表されていますが、CKDの治療をするためにはCKDだけでなく糖尿病、脂質異常症、尿酸などのガイドラインを学び、やがて自然に習得するようになります(表1)。

CKDと関連する疾患ガイドライン

  • CKD
  • 糖尿病
  • 高脂血症
  • 高血圧
  • 尿酸
  • 妊娠高血圧

CKDと関連する診断基準

  • 膠原病
  • 血管炎
  • 循環器病
  • メタボリックシンドローム

表1

日本のCKD/心腎連関の研究 → 当研究室が大いに貢献!

CKDと心血管イベントとの関連をみた研究では、欧米での成績から日本人にその結果が推測されていましたが、日本人における大規模臨床研究の成績が2006年に相次いで発表されました。CASE-Jのサブ解析では、CKDが心血管事故に及ぼす危険率が糖尿病、心疾患関連危険因子、脳疾患関連危険因子よりも高いことが示され、日本人においても心血管事故に与えるCKDのインパクトの強さを印象づけました。この解析の主任担当者が、本研究室の猿田名誉教授です。また、国際高血圧学会でCASE-Jと同時に発表されたJATOS研究では、Ca拮抗薬であるエホニジピンが腎保護作用を示すことや、心血管イベント発症を抑えることを示しましたが、この研究の主席報告は当研究室でおこないました(林晃一)。これらの日本人を用いた大規模研究結果がメディア化されることで、当研究室がより大きく注目されるものと考えます。

CKD専門医になること → 希少価値!

現在当診療科で取り扱っている疾患は、CKDのほかに、その原因疾患として高血圧、糖尿病、肥満、メタボリックなど一般人が頻繁に有する病態であり、健康診断などでは最も高率に検出される疾患グループです(表2)。
一方、これらの疾患に関連する学会の専門医数をみますと、患者数に比して極めて少ないことが容易に理解されます。実際腎臓専門医ひとりあたり、8,000人の患者を診ることとなり、これは他学会専門医数が比較的妥当な数値である(e.g.,循環器専門医;9,817名)ことと対照的で、当科で扱う患者の多さに起因すると同時に専門医の絶対数が少ないことも大いに関与しています。今後もこれらの疾患はますます増加傾向であり、社会的にも専門医としての技量を必要とする要求がますます増えることが大いに予想されます。

各疾患の頻度
慢性腎臓病 2,137万人
高血圧     3,500万人
糖尿病    740万人
食後高血糖 880万人
肥満      2,300万人

専門医の総数
腎臓病専門医: 2,552名
透析専門医:  3,751名
高血圧FJSH:  300名
糖尿病専門医: 3,298名
循環器専門医: 約10,000名

表2

最後に、CKDドクター選択へのフローチャートをお示しします。

CKDドクター選択へのフローチャート



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