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慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

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腎生検の醍醐味

徳山博文

腎臓は「生体内の司令塔」

腎臓は「生体内の司令塔」と言うべき重要な役割を担っている臓器です。生体内の恒常性を保つために、大動脈、頸動脈、心臓など各部所から常に情報が腎臓へ集められ、その情報を同時に腎臓で処理し、水、電解質、血圧などを制御していくわけです。この司令塔が何かしらの原因で障害を受ければ、これは大変なことになります。従って、「蛋白尿」「血尿」を、たかが「蛋白尿」「血尿」と放置しては、徐々に腎障害が進行し、いずれは生体内の恒常性が破綻することになってしまうわけです。蛋白尿は、腎臓に限った問題ではありません。アルブミン尿、蛋白尿はそれだけで心血管イベントの大きな危険因子であり、蛋白尿がひどければひどいほど、心血管イベント発症リスクは増大します。

腎臓の発する「蛋白尿」「血尿」といった危険信号を早急に察知し、今この「生体内の司令塔」に何が起こっているのかを明らかにしなくてはなりません。その一つの重要な技術が腎生検です。病歴、理学的所見、血液検査、尿検査などからどのような腎臓障害が起きているのか類推していくわけですが、その証拠固めが腎生検所見であります。さらに言えば、どんなに立派な想像や知識を述べてみても、腎生検所見が今まさに起きている事実であり、「黄門様の印籠」なのです。腎生検のみが大切と言っているわけではありません。臨床症状、検査所見から類推することと腎生検所見を照らし合わせる作業は非常に大切です。学生時代に「B型肝炎ウイルス関連の腎症と言えば膜性腎症」「C型肝炎ウイルスは膜性増殖性腎炎だな」などと勉強したはずです。しかし、実際の臨床では必ずしも教科書通りにはいかないことも多く、「この症例は典型だが、こっちの症例は非常に珍しいな」という作業、勉強が重要です。さらに、腎生検所見から逆に隠れた全身疾患を明らかにできることがあります。膜性腎症の所見から悪性腫瘍が明らかになり、巣状糸球体硬化症所見からHIV感染症が明らかにされることがあるわけです。腎臓組織所見は腎臓だけに関わる形態変化を示すものではなく、消化器疾患、リウマチ疾患、呼吸循環器疾患、感染症など全身疾患とも密接に関わっているのです。他科との連携も深め、全身疾患と腎症の関連について当科から新たな知見を発信していきたいと考えています。全身疾患からの腎障害はいまだ不明の点も多く、皆さんが世界初の症例報告をして下さい。

高度な専門性を有する腎生検

腎生検の手技は非常に高度で専門性の高いものであり、腎臓内科医の腕の見せ所です。また、腎臓・微小血管病理所見を読み解くことも腎臓内科医ならではの技術であります。腎臓病理所見から、患者さんの病態生理を明らかにし、治療方針を決定していくことは、腎臓内科医にとって醍醐味であり、患者さんからの期待も大きいのです。「健診でタンパク尿が陽性といわれました」「昨日突然血尿が出てびっくりして病院に来ました」という問に自信を持って「入院して調べましょう。私が外来主治医として責任を持ってあなたの腎臓組織を採り、診断し、治療します」と堂々と答えられる医師を教育していきます。当研究室は、腎生検の実習期間を設けております。4ヶ月で腎生検の準備、手技を学びます。希望すれば長く腎生検グループに参加してもらえます。腎臓組織の読みは腎生検グループ、病理診断部と共に行い、勉強していきます。また、定期的に腎生検カンファレンスに参加し、知識を深めていくことができます。

腎生検から世界へ

先人達が明らかにした知識に漫然と頼るのではなく、当研究室には新たな知見を世に発信していくという重要な使命があります。当科でこれまで集積してきた腎臓生検病理の統計的総括を含め、新たに各種腎炎、ネフローゼ症候群に対する治療反応性の評価を病理所見からアプローチできないかと考えています。従来の半月体形成率、活動性病変の有無などからの評価は一定の臨床的意義を持つと考えますが、確固としたものではありません。腎臓形態的変化を電顕所見から評価し、治療反応性の評価を行えないか、現在検討を行っています。腎生検組織電顕所見の形態的特長と治療反応性の関連など全く新たな試みを行なうことで、新たな治療戦略の一つに加え、新たな知見を世界に発信していこうと考えています。


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