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慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

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包括的腎代替療法の実践に向けて

鷲田直輝

~腹膜透析療法への誘い~

本邦の腎代替療法の現状と本講座での取り組み

2006年末の日本透析医学会のデータでは、慢性透析患者数は26万人を超え、透析に関わる年間医療費も一兆円を超えており、日本の医療費の約4%を占めるまでになっております。日本における透析医療は,1967年の血液透析の医療保険適用を端緒に急速かつ血液透析に偏重しつつ普及発展をとげました。その背景には、医師・看護師の教育体制の不備などから血液透析に依存し続けてきた経緯があり、その結果、患者本位の透析治療選択が欠如し、腹膜透析は欧米に比較しても普及率の低い状況です。腹膜透析は、生命予後改善や高齢化の進む日本において在宅療法をも可能にし、患者QOLに大いに貢献できる治療であり、患者の生活領域が広がり経済活動の活性化、如いては医療費抑制にも貢献できるものと考えます。しかし、腹膜透析には腹膜硬化症などの未解決課題が滞積しており、適切な腹膜透析治療を患者に提供するためには様々な対策を講じる必要があります。このような現状を踏まえ、高齢化社会を迎え、透析在宅医療の推進、腹膜透析の普及・技術開発・透析液開発・腹膜硬化症の病態究明と治療薬の開発などが急務であることは論を講じるまでもありません。
腎臓・内分泌・代謝内科では、以上のような課題を解決し、透析療法の進歩に貢献するために、2008年4月より寄附講座(腎代替療法システム展開講座)を設置することが予定されております。これにより豊富な研究基金をはじめ、腹膜透析の国際的高度水準施設(カロリンスカ大学など)に留学して臨床及び研究の高度先端技術を身につけることができます。

腹膜透析普及の展望

腹膜透析は現在までのところ低い普及率(2006年日本透析医学会データでは3.4%)にとどまっています。しかし、2000年以降の医療費改定の推移をみても明らかなように血液透析は毎回診療報酬が下げられていますが、腹膜透析は維持されています。さらに内科系学会社会保険連合で掲げられた最重要課題の"特に実現をめざす9項目"の中に腹膜透析導入時の自己管理支援が入っていること、厚生労働省の新健康フロンティア戦略賢人会議資料に腹膜透析などの在宅医療用具の開発・普及が掲げられていることなど、政策的にも腹膜透析普及にむけた試みがなされていくものと考えられます。

腹膜透析療法実践で習得できる能力

  1. 専門性の高い腹膜透析管理能力
    腹膜透析療法導入、管理に関しては、血液透析以上に豊富な経験が必要不可欠です。これにより、今後複数科による重複領域が増えていく中で、高い専門性を発揮できることとなります。また今後在宅医療普及が図られていく中で、腹膜透析管理の臨床経験は、有意義なものとなると考えられます。
  2. 包括的腎代替療法実践の能力
    本邦における多くの施設では、血液透析療法単独で腎不全管理を行っているという現状があります。しかしながら腹膜透析や腎臓移植といった他の腎代替療法があり、それらを組み合わせることで、QOLのみならず生命予後をも改善することができるという報告があります。さらにこの包括的腎代替療法を実践できるのは、一部の大学病院などに限られ、慶應義塾大学病院はそのひとつであります。ですからこの恵まれた環境を生かし、トレーニングを積むことによって、日本ではまだ少数の包括的腎代替療法専門家になることも可能です。
  3. 医療経済感覚
    現在医療経済は非常に厳しい局面にあり、経営破たんに陥る病院も少なくありません。このような状況下では、正確な診療が出来るだけでは、医師として十分な資質を備えているとはいえません。現代の医療を担う医師は、経営上も健全な状態を維持しつつ、高い診療水準を維持していく必要があります。血液透析もうまく管理しなくては赤字となり、病院経営の圧迫要因となり、しいては患者への医療サービスの低下をもたらします。腹膜透析の管理技術を習得し、血液透析と組み合わせてうまく管理することは、収益性においても有利となることは言うまでもなく、高い医療経済感覚を習得することができます。
  4. 外科的管理能力
    腹膜透析管理においては、テンコフカテーテル関連感染にどう対処できるかが重要なポイントとなります。出口部感染が遷延化しているにもかかわらず、漫然と抗生物質を投与するだけでは、耐性菌をつくり、状況はますます悪くなります。そもそも出口部の位置が悪い場合には、時期を逸せず出口変更術やアンルーフィングなどの外科的処置が必要不可欠です。さらにテンコフカテーテル感染による腹膜炎では、カテーテル入れ替えを行うことにより、さらに長期の腹膜透析管理を可能にします。
    慶應義塾大学ではカテーテル挿入・抜去は、泌尿器科の協力のもと基本的には内科が担当しております。ですから上記の外科的処置、手術技術を習得することも可能となり、外科的管理能力も身につけることができます。

腹膜透析療法は社会的なニーズも高まっており、"やりがい"のある療法です。さらに、腹膜透析療法の臨床経験を積むことによって、様々な専門的能力を習得でき、やがてその能力を臨床の場で遺憾なく発揮できるようになるでしょう。私たちとともに腹膜透析療法に取り組んでみませんか?
今、当講座ではあなたの若い力を必要としています。


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