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慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

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心血管内分泌学と高血圧医療の魅力

篠村裕之

簡単なようで実は奥の深い高血圧診療

あなたのそば(親・親戚・知り合い)に高血圧の人はいませんか?
現在日本人の4人に1人は高血圧であることが明らかにされています。
このような疾患の治療エキスパートになるのは簡単なようで実は奥が深い。
でもなれたら非常に魅力的で、多くの人に頼られる医師になれる、というのが実態です。

世界人口、成人の4人に1人が高血圧

世界成人人口36億8200万人に対して高血圧患者が9億7200万人、すなわち全世界の成人人口の26.4%が高血圧であることが示されています。これは2000年のデータですが、2025年には29.2%に上昇することが想定されています。
今世紀の最大の医学問題の一つと言っても過言ではありません。
そのうち、90%の患者は一般内科医や家庭医が診れると私は思っています。
残り10%が専門医の出番、言うなれば腕の見せ所であります。

アメリカの専門医標榜(Board certification)は腎臓・高血圧(Nephrology and Hypertension)がセットとなっている

私もアメリカで専修医研修を行ったときはNephrology and Hypertension クリニックで、多くの高血圧依頼患者を診ました。皆、その地域の一般内科医、一般家庭医から依頼された患者であります。多くの場合は腎臓病の患者と平行して診ましたが、病院によっては高血圧専門クリニックを運営している病院もありました。診断(例えば二次性高血圧の除外)や治療(薬物療法、時には高血圧緊急症の緊急対応)の両方の技術を必要とする専門的な内容の依頼が多く、専門的な高血圧治療の必要性・意義を痛感しました。本邦でも「高血圧専門医」の資格が新たに発足し、専門家としての仕事は絶えないと思われます。

本邦でも二次性高血圧症が増加している

最近、二次性高血圧症の患者の割合が予想以上に多いことが示唆されています。図1は高血圧患者全体における二次性高血圧の割合を示した今までのデータであります。このように、二次性高血圧は全高血圧患者の5%程度と考えられていました。ところが、最近のCTやMRIの技術の進歩により、副腎のmicroadenomaによる原発性アルドステロン症が非常に多い(場合によっては10%以上?)ことを示すデータも提示されています。具体的に何%が外科的治療・根治治療の対象となるのかは未だ未解決ですが、今後二次性高血圧をすみやかに診断し、根治を目指すことが益々重要となってくる可能性が考えられます。

高血圧の根治(退行)治療の開発

当教室では高血圧研究の最先端で、常に学会を牽引することを目指してきましたが、高血圧の発症予防あるいは根治(退行)できる新たな治療法の開発に取り組んでいます。現在多施設の臨床試験(STAR CAST study)を開始しており、新たな治療法に関するエビデンス構築を目指しています。もしこの臨床試験に成功すれば、高血圧治療の新しい時代の幕開けとなり、世界的に注目されるのではないかと期待しています。また、当教室は「高血圧治療の老舗」としての自覚のもとで、拮抗的(プロ)レニン受容体阻害薬を初めとして、レニン阻害薬・アルドステロン拮抗薬などの新しい薬の基礎開発や臨床応用を手掛けており、臨床の現場で使用できる薬剤のレパートリーがこの10~20年の間、飛躍的に増えてくるのではないかと想定しています。

結論:高血圧の治療は面白いし、大きな武器となる

高血圧患者のみを単独で診る状況は実際には少ないと思いますが、腎臓内科あるいは内分泌代謝内科の専門家として、更に高血圧治療のエキスパートとしても活躍できれば、毎日の臨床が極めて面白くなるのではと思います。「犬も歩けば棒にあたる」という諺がありますが、町を歩けば4人に1人が高血圧。これが内科学の王道の一つとしての高血圧医療の最大の魅力かもしれません。

図1

図1 二次性高血圧の頻度(%)(日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン2004より)


包括的腎代替療法の実践に向けて

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血管を標的とした生活習慣病診療


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