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慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

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骨を診る内科医

竹田秀

私たちの体内では常に骨形成と骨吸収が繰り返され(骨の代謝)、そのバランスが保たれることで骨の恒常性が維持されています。この恒常性が破綻し、骨折を起こしやすくなった病態が骨粗鬆症です。骨粗鬆症は閉経にともなうエストロゲンなどの「ホルモン」の欠乏により発症し、年齢とともにその有病率は増加し、75歳以上の女性ではおよそ二人に一人が罹患しています。高齢化社会を迎えた我が国において、その患者数はおよそ1,300万人とも言われ、的確な診断と治療が望まれています。

これまで、我が国では、整形外科、産婦人科などを専門とする医師が骨粗鬆症の診療にあたる場合が比較的多いとされてきました。しかし、国際的には骨粗鬆症は内分泌疾患の一つとして捉えられています。骨粗鬆症を全身的な「ホルモン」の異常によって発症する「代謝」の異常という視点から考えると、「ホルモン」、「代謝」を専門とする内分泌代謝医が骨粗鬆症の診断、治療にあたることも、あながち的外れではないのかもしれません。実際に米国のNIHからの声明によれば、骨粗鬆症の患者さんは内分泌医や老年内科医などを受診することが推奨されています。また、骨粗鬆症の診断には、原発性の骨粗鬆症と二次性骨粗鬆症を的確に診断することが重要です。二次性骨粗鬆症を惹起する疾患には副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、クッシング症候群などの内分泌疾患が多いことも骨粗鬆症の診断、治療にあたる内分泌代謝医が求められる所以です。

ところで、近年、「臓器間のクロストークによる代謝調節機構」という概念が注目されています。たとえば、腎機能が低下すると心血管病の発症リスクが増加するといったことからわかるように、個々の臓器は独立して代謝を営むのではなく、体の各臓器がお互いの代謝に積極的に関わり、ひいては体全体の代謝に関与しているということです。骨がFGF23やオステオカルシンという「ホルモン」を分泌して、リン酸代謝や糖代謝を調節することなどが解明され、この「臓器間のクロストーク」において、骨は中心的な役割を果たしていることが明らかとなりました。今日では、骨は他の臓器が分泌するホルモンによって調節される受身の臓器ではなく、積極的に他の臓器の代謝にかかわる、「ホルモン分泌臓器」として捉えられています。

臨床の場においても、骨粗鬆症の治療法は変革を遂げています。ビスホスホネートや選択的エストロゲン受容体モジュレーターなどの骨吸収を抑制する薬剤、副甲状腺ホルモンに代表される骨形成を促進する薬剤、さらには骨吸収とカルシウム代謝を同時に改善する新規ビタミンD誘導体など、様々な治療法が臨床で用いられるようになってきました。骨粗鬆症、副甲状腺機能懇親症などの骨代謝異常症を的確に診断し、病態生理に基づいて、最適な治療法を選択できる、「骨を診る内科医」が今、求められています。


面白くて新しい内分泌診療

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