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慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

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減量手術と肥満医療の魅力

入江 潤一郎

肥満は、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、心血管障害、睡眠時無呼吸症候群、大腸がんや乳がんなどの悪性疾患など、さまざまな疾病発症の基盤となる病態であり、重大な健康障害をもたらすことが広く知られています。肥満を改善することでこれらの合併症を減らせることは明らかであり、医療経済の面からも大きな意義があります。また日本人を含めたアジア人は欧米人に比較して、肥満の程度が軽度でも糖尿病になりやすいことが知られており、特に日本人は体重の管理に注意をする必要があるといえます。

しかし肥満の根本的な原因は明らかとなっておりません。むしろ何年もの長期間にわたり、特別な管理を行わなくても大体一定の体重を維持している方は多くおられ、食事内容が様々に変化する日常生活を考えるとこのこと自体が驚くべきことです。体重の維持機構は極めて精巧に出来ている、と考えるべきで、このシステムの異常が肥満をもたらすといえるのかもしれません。

肥満症の治療として、食事療法、運動療法を含めた行動療法が重要であることは言うまでもありません。咀嚼回数を増やしたり食事の摂り方によって体重を減らすことが可能であり、食事療法は摂取エネルギーの調整を超える意義があると考えられます。しかし食事療法や行動療法は治療を継続するのは容易でないことも事実です。また肥満の原因が明らかでない以上、有効な薬物療法が少ないのが現状です。

このような状況で、高度肥満に対する治療手段の一つとして、胃バイパス術や胃バンディング術などの外科的手術療法が広まってきています。既に米国では年間20万件近い肥満外科治療が行われていますが、わが国においては肥満に対する治療体系が充分に整えられているとは言えません。2006年、日本肥満学会、日本消化器内視鏡学会および日本内視鏡外科学会において、内視鏡的および内視鏡外科肥満治療として、胃内バルーン留置術と胃バンディング術に対する適応指針が発表されました。今後、その有効性や安全性が検討されようとしています。我々の教室では消化器外科と協力して様々なアプローチによる肥満治療を始めています。現在、わが国で肥満外科手術を施行している施設は極めて限られますが、今後本邦でも普及していくと考えられます。

また、胃バイパス術を受けた2型糖尿病患者において、術後早期、明らかな体重減少が得られる以前に、血糖コントロールが著明に改善することが知られています。GLP-1などの腸管ホルモンの関与を示唆した報告がありますが、詳細は明らかにされておらず、肥満外科手術から逆に肥満のメカニズムの解明にせまれる可能性があると考えられます。

肥満治療は、わが国においても今後急速に発展してゆく可能性のある領域であり、臨床面および研究面において、その一翼を担うことができましたら素晴らしいことではないかと思います。


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