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慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

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トランスレーショナルリサーチと実践医療の魅力

宮下和季

―最先端の研究成果を臨床へ―

臨床に根ざした研究の魅力

私も研修医の頃は目の前の業務をこなすのに精一杯で、少しでもいい臨床医になりたいと思うばかりで、それ以上の展望を持つ余裕がありませんでした。研究に関しても、博士号取得のために研究をしてみよう、という思いはありましたが、研究成果を臨床に活かそうという発想はなく、研究と臨床を分けて考えていました。しかしながら、実際に臨床経験をつみ、さらには研究を始めると、食事療法も運動療法もうまくいかず苦労されている2型糖尿病患者に、新しい治療法を開発できるのではないかという思いが強くなり、卒後10年が経過した現在では、研究に専念する毎日を送っております。

実践医療の魅力と新しい治療法を生み出すよろこび

腎臓内分泌代謝内科では、論文を書くための研究ではなく、臨床につながる研究が可能です。医学的諸問題の解決のため、基礎から臨床に至る幅広い視野を有する人材が社会的にも要請されておりますが、腎臓内分泌代謝内科では、最先端の基礎研究による病態解明、動物実験での新規治療法の開発から、臨床研究までをすべて自前で行い、最先端の研究成果を臨床に応用するトランスレーショナルリサーチを包括的に推進することができます。最近の成果として、心不全治療薬ハンプ(Human Atrial Natriuretic Peptide)の下肢虚血患者への臨床応用があげられます(図1)。われわれのメンバーはこれまで、心臓から分泌されるホルモンであるナトリウム利尿ペプチド(NP)の病態生理学的意義について研究を続け、心疾患に伴い増加するホルモンであるNPが心不全患者において治療効果を発揮することを見出し、ハンプとしての製剤化と、心不全治療薬としての臨床応用において中心的役割を担って参りました。その後もNPの血管系における意義についてさらなる探求を続け、培養細胞を用いた検討、NPを過剰発現する遺伝子改変動物やレーザードップラー血流系を用いた最先端の基礎研究を通して、NPが虚血部位において血管再生を促進し、血流を回復させることを見出しました。そこで、メタボリックシンドロームの下流に位置する病態である、閉塞性動脈硬化症(ASO)患者においてハンプ投与を実践したところ、下肢虚血に対する治療効果が明らかになりました(図1)。新しい治療法を実践し、その効果を世界に先駆けてこの眼で確認することは何物にも代え難いよろこびであり、患者からの生の声は、検査データでは語り尽くせない説得力があります。また、基礎から臨床に至る幅広い経験は、患者の病態と治療法に関する理解を深め、さらなる新規医療の開拓意欲を湧きたてます。

図1

図1 ハンプのトランスレーショナルリサーチ
糖尿病を背景とした末期動脈硬化症患者にハンプを投与することで、下肢血流の回復、痛みの緩和、潰瘍の縮小を認めた。

腎臓内分泌代謝内科から世界に向けて、トランスレーショナルリサーチ

腎臓内分泌代謝内科では、これからも数多くのトランスレーショナルリサーチを実践し、全世界に向けて新しい治療法を提案していきます(表1)。最先端の研究成果を臨床に還元する喜びを、皆様とともに分かち合うことができれば、われわれにとりましても何よりの喜びです。

表1

表1 腎臓内分泌代謝内科のトランスレーショナルリサーチ


大規模臨床研究への道

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