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慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

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教室案内

腎臓内分泌代謝内科の目指すもの

腎臓内分泌代謝内科は、Patient、まさに苦しみに耐える患者さんの苦しみを共感(Sympathy)し、誠意(Sincerity)をもって患者さんへ献身(Self-sacrifice)、奉仕(Service)が実践できる内科医師を養成することを教室の目標としています。そして、臓器個別の障害のみに眼を奪われることなく、内科医本来の姿である、患者さんの全身状態を総合的、多角的に把握し治療することをモットーに、診療、教育、研究に邁進しています。

内分泌代謝学は「内部環境の恒常性の維持」をその基本概念としており、患者さんの病態の全体像を理解する上で大変優れた臨床分野です。内分泌代謝疾患は腎疾患をはじめとする合併症を引き起こし、全身にわたる症候が極めて多彩に認められ、包括的、統合的な診療態度が特に要求されます。腎臓内分泌代謝内科では、実際の臨床の場で、ホルモンという言葉で患者さんの病態の全体像を理解し、治療に結びつけていく医療姿勢を養うことを目指しています。

1900年まさに20世紀初頭に高峰譲吉博士によりアドレナリンが精製されて以来、次々にホルモンが発見されてきましたが、最近では心臓腎臓血管ホルモンや脂肪細胞からのホルモン、アデイポサイトカインなどが同定され、内分泌学は大きなパラダイムシフトをむかえています。そのなかで、高血圧症、糖尿病、高脂症、肥満など生活習慣病はホルモンの異常としてとらえることができ、その患者数は全人口の半数以上に達する状況であり最も重要な疾患領域のひとつとなっています。また、生活習慣病の重積である"メタボリックシンドローム"あるいは"抗老化、抗加齢医学"といった新しい医療概念も生まれてきています。一方、腎臓は、ホルモン産生臓器であるとともに、ホルモン受容臓器として水電解質代謝、血圧調節、骨代謝などに広く関与しています。また同時に糖尿病性腎症をはじめとして、代謝性疾患、生活習慣病のターゲット臓器となっており、生活習慣病合併症発生において極めて重要な位置を占めています。慢性腎疾患は全人口の6割を占め、糖尿病による腎透析は増加の一途をたどっています。

このように、21世紀の医療では、悪性疾患とともに、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病から脳心腎血管合併症への連続した疾患群(Lifestyle Medicine)の重要性がますます大きくなると思われます。腎臓内分泌代謝内科はこの臨床スペクトラム全体、すなわち、ホメオスターシスの破綻と臓器障害の病態の理解とその包括的医療の実践を行っています。

教室員へのメッセージ

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我々慶應義塾大学医学部内科学教室からは日本の最先端の医療を発信するミッションがある。外科においては、内視鏡手術やロボットオペレーションなど最新の手術手技の開発が最重要であることは明確である。それでは内科における最近の医療提案とはなにか?

もちろん、既存の医療パワーの有機的な統合により現存の最高の医療を患者が享受できるようにすることは、医療人としての我々にとって極めて重要であることは論を待たない。そのための機動的診療体制の樹立は、現在の教室員の臨床への情熱、献身的態度をもってすれば、全員の真摯な協力のなかで可能であると考えている。早急にそうしたプラットフォームを構築したい。またその方面へのコミットメントを専門とする人間がいることも重要である。

しかし、内科からの新医療発信の実現の第一歩は、まず正攻法の天井の高いモーティベーションを持つことである。そしてその目的意識に裏打された文字通り前人未踏の研究を展開する必要がある。論文を書くためだけの研究は無駄であると考えるべきではないか。道楽としての研究(?)は少なくとも臨床教室の研究には必要ない。既報の結果を、順列組み合わせでやる実験は一流の研究者の前では鍍金がすぐに剥がれる。そうした"研究"に時間を費やしているより、患者ケアーに専念したほうがはるかに意味がある。「研究は所詮研究、我々医師にとってはやはり臨床のほうが大切である」というような発言があるとすれば、それは明らかに研究に対する認識を誤った人の言葉と思われる。我々が患者ケアーを"ある程度犠牲にしても"研究するにはそれだけの覚悟がいる。たとえ自分ひとりで成し遂げられないとしても、自分のやっている方向性は、後人にも受け継がれ貫かれるべきであると思える研究、その先に新医療の実現がしっかりイメージされる研究を行うべきである。つねに最新の研究技術を導入し、こうした研究を不断に継続して、新知見を着実に蓄積することによってのみ新医療は実現される。日々の臨床活動は厳しい。しかしそれに耐えて粘り強く、ある意味、楽しく研究を続けられる原動力は、逆説的ではあるが、こうした厳しいハイレベルの研究からしか生まれない。この点をもう一度、各人が考え直し、また議論しなおすべきである。

それでは、21世紀の内科研究の新しいパラダイムは何なのか?今後10年の流れを考え、私が選んだ方向性がMETABOLISM FOR MEDICINEである。

奇病でなく、ごくありふれた、それだけに最大多数の国民にとって最も重要な疾患群である高血圧症、糖尿病など生活習慣病、そして慢性腎疾患と、その血管合併症の病態生理(わたしがメタボリックドミノとよぶ領域)は現在も完全には明らかにされていない。したがって、内科医として、その解明は、チャレンジングな分野であり、内科の王道のひとつである。幸運なことに、我々の教室はこの疾患スペクトラムを包括的にカバーしその医療することを委ねられている。大きな責任があると同時に大変恵まれた環境を提供されていることを教室員各人は自覚すべきである。では、何故、いまだにメタボリックドミノの分子機構が解明をみないのか?ポストゲノム時代において遺伝子の良質な情報は簡単に得られるようにはなった。遺伝子発現の網羅的解析は誰にでも可能となったが、それら遺伝子群の発現レベルだけで病態を語ろうとするのはあまりにも早計であることは、もう誰もが気づいている。機能的なゲノムネットワークの構築とその病態へのリンクには、エピジェネティックなレベルで、タンパク機能ネットワークの変調を明らかにする必要がある。個々の臓器を構成する細胞のプロテオームさらにメタボロームを明らかにし、種々の病態における各臓器細胞の発信する情報と、心腎連関、消化器脳連関など、臓器間ネットワークの変化を如何に把握するかが、今後の最も重要な課題となると考えている。ここに、代謝学をターゲットした展開医療(METABOLISM FOR MEDICINE)の意義がある。

シンボルマーク

シンボルマーク

腎臓内分泌代謝内科では、臨床活動、さらに研究活動の基本姿勢として、あくまで自分たちが源流となることを目指したいと考えています。オリジナリティーの高い臨床技術の確立が大切であり、そのためには、ひとつひとつの症例から謙虚にそして貪欲に学ぶ態度が重要だと考えております。そして、常に症例から発想した新しい治療法の確立を目指しております。

本塾医学部の創設者である北里柴三郎先生は、当時の最先端医学であった細菌学を専攻し、破傷風菌の嫌気性純粋培養に成功され、そこから抗毒素抗体を発見し、さらに、その臨床応用として、抗血清療法を開発されました。北里柴三郎先生は、現在注目されているtranslational medicineすなわち基礎医学で得られた高度な知識を新規の最先端医療開発に応用する医学領域のパイオニアであります。

北里柴三郎先生は、本塾医学部の前身である、伝染病研究所を開設されましたが、そのシンボルマークは、クロスする破傷風菌とそれを囲む月桂樹でありました。先生は、オリジナリティーの高いtranslational medicineの樹立の思いをそのマークに託されました。腎臓内分泌代謝内科では、教室員一人一人が、「北里チルドレン」としての誇りを持って、トランスレーショナル実践を目指しています。その姿勢を象徴するシンボルマークを創りました。すなわち、伝染病研究所のマークに寄せて、破傷風菌の形の赤(動脈)と青(静脈)のクロスに、内分泌代謝学と腎臓病学の融合を示し、生活習慣病とその合併症の先進的かつ包括的医療の開発実践の決意を込めました。



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