交通・アクセス
サイトマップ
慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

トップ > 受診されるみなさま > 代表的な病気の解説 > 慢性腎臓病

慢性腎臓病

概要

慢性腎臓病とは、たんぱく尿などの腎臓の障害、もしくは腎臓の機能低下が3ヶ月以上つづく状態を言います。腎臓の機能を最も正確に表すのは、糸球体濾過量(しきゅうたいろかりょう)で、GFR(ジーエフアール)と呼ばれています。GFRの値は、健康な人では約100mL/minですが、腎臓の機能が低下してくると低下し、60mL/min未満になると機能低下といいます。

慢性腎臓病には、慢性糸球体腎炎(まんせいしきゅうたいじんえん)や糖尿病など慢性的に病気が持続する多くの腎臓病が含まれます。また、原因がはっきりしなくとも、慢性腎不全(まんせいじんふぜん)と呼ばれる腎臓の機能が低下した状態の患者さんも、ひとくくりに慢性腎臓病と呼ぶようになりました。慢性腎臓病は腎臓の機能に応じて、表のようにGFRの値によって、病気の進み具合を表すステージ分類がおこなわれ、それぞれのステージに応じた治療が実施されます。

腎臓の機能が低下して健常人の10%以下、GFRが10mL/min未満になると、腎臓の機能を代行する透析(とうせき)療法が必要になります。わが国の慢性腎臓病患者は全人口の10%弱と推定されていて、透析を受ける患者数は毎年増加し、2007年末には27万人強となっています。

慢性腎臓病は、将来腎臓の機能がさらに低下し、透析などが必要になる可能性があります。同時に、脳梗塞(のうこうそく)や脳出血といったいわゆる脳卒中や、心筋梗塞(しんきんこうそく)などの心血管病を引き起こす重大な原因となります。そのため、慢性腎臓病では、腎臓の機能低下をおさえるための治療をおこなうと同時に、早期より、心血管病発症を予防するための治療を強化しておこなう必要があります。

病期ステージ

説明

GFRの値

0

腎障害がなく、GFRも正常であるが、高血圧、糖尿病など、慢性腎臓病になりやすい状態が存在する

≧90

1

腎障害は存在するが、GFRは正常または正常より高い

≧90

2

腎障害が存在し、GFRは軽度に低下

60~89

3

GFRが中等度低下

30~59

4

GFRが高度に低下

15~29

5

腎不全

<15

症状

慢性腎臓病の患者さんは、多くの場合、症状がありません。腎臓の機能があまり低下していない時期には、症状がないことがほとんどです。症状があっても、夜間の排尿回数が増えたり、軽度のむくみが出たりするなど軽い症状です。ただし、たんぱく尿の量が多く、ネフローゼ症候群と呼ばれる状態の場合には、全身に強いむくみが出ます。血液中の老廃物である血清クレアチニンが2mg/dL以上(GFRが30mL/min未満)になると、貧血、低カルシウム血症、低リン血症などの血中の電解質の異常、血液が酸性になるアシドーシスなどの異常を検査で認めるようになります。また、老廃物がたまって、疲労感や脱力感を感じるようになります。さらに、腎臓の機能が低下し、血清クレアチニン8mg/dL以上(GFRが10mL/min未満)になると、尿毒症(にょうどくしょう)が出現することがありえます。尿毒症とは腎臓がほとんど機能しなくなったときにおこる、いろいろな症状のことです。軽い尿毒症は、はきけ程度ですが、重い尿毒症になると、全身の強いむくみ、心不全(心臓の機能の低下)、肺水腫(肺に水がたまる)、出血傾向(血が止まりにくくなる)、筋肉のひきつれや、重症だと意識レベルの低下などの神経症状などが出現します。このような重い尿毒症になった場合には、ただちに血液透析による治療が必要となります。

診断

もっとも重要なのは腎臓の機能を評価することです。これまでは、血液検査で測る血清クレアチニンでおこなわれてきました。血清クレアチニンが体格や年齢によって大きく左右されることから、血清クレアチニンと年齢をもとに推定したGFRを用いることが最近では一般的になってきました。日本人の場合、70歳未満でGFRが50mL/min未満の場合、70歳以上で40mL/min未満の場合は、将来腎臓の機能が低下して透析にいたるリスクが高いと言われています。
尿検査でわかる、たんぱく尿と尿潜血(尿に血がまじること)は、腎臓病の診断において重要です。特に、たんぱく尿が多い場合は将来、腎臓の機能が低下していく危険性が高いからです。
慢性腎臓病の原因として多いのは、糖尿病による糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、高血圧による腎硬化症(じんこうかしょう)、遺伝性疾患である多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)などの病気です。慢性糸球体腎炎が疑われ、たんぱく尿の量が多い場合などでは、腎生検をおこなうことがあります。腎生検は、腎臓の組織の一部を取って、組織を詳しく見る検査であり、病気の進み具合や治療法を決めることができます。
腹部超音波検査や腹部CT(シーティー)検査も、多発性嚢胞腎などの一部の腎臓病の診断には有効です。

治療

残念ながら、多くの慢性腎臓病は完全に治すことができません。腎臓の機能は、10年~20年といった長い年月を経て、少しずつ低下していきます。したがって、治療としては、いかに腎臓の機能の低下を遅らせるかということが主眼になります。実際の治療は1.腎臓の機能低下をおさえるための治療、2.腎臓の機能低下にともなう合併症に対する治療、3. 腎臓の機能を代行する治療に分けることができます。

  1. 腎臓の機能低下をおさえるための治療
    • 可能なら慢性腎臓病の原因となった病気を治療します。一部の慢性糸球体腎炎にはステロイドなどの免疫をおさえる治療が有効です。糖尿病性による腎障害では、血糖のコントロールが有効です。
    • 血圧のコントロールをします。慢性腎臓病の患者さんの多くが、高血圧症を合併しています。130/80 mmHgを目標に血圧をおさえます。
    • 血圧を下げるために、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)またはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を服用します。ARBとACE阻害薬は血圧を下げるだけでなく、腎臓の機能の悪化をおさえる作用も強いのが特徴です。
    • クレメジンという活性炭でできた薬を服用します。腸の中で尿毒物質を吸着して、便に排泄する働きがあります。
    • 食事療法をします。減塩と低たんぱく食が基本です。高カリウム血症の場合は、カリウム制限が必要です。

  2. 腎臓の機能の低下に伴う合併症に対する治療
    • 高リン血症→炭酸カルシウムなど、腸の中でリンを吸着して便に排泄する薬を服用します。
    • 低カルシウム血症→炭酸カルシウムなど、カルシウムを含むリン吸着薬と、ビタミンD製剤を服用します。
    • 貧血→腎臓が悪い人特有の貧血である腎性貧血には、特効薬の増血剤エリスロポエチン製剤を注射します。

  3. 腎臓の機能を代行する治療法
    さらに、腎臓の機能低下が進むと、尿毒症と呼ばれる様々な症状が出現するようになり、腎代替療法(じんだいたいりょうほう)が必要となります。腎代替療法には以下の3種類があります。

慶應義塾大学病院での取り組み

  • 腎臓内分泌代謝内科では、年に2回程度、当院に通院する慢性腎臓病患者さん向けに「じんぞう病教室」を開催しています。
  • 腎臓の機能の低下が進み、腎代替療法が必要になった患者さんには、血液透析、腹膜透析、腎臓移植のそれぞれメリット、デメリットを理解していただいて、ご自身にあった治療方法を選択していただいています。この3つの治療法が受けられる施設は、全国でも数が限られています。

さらに詳しく知りたい方への書籍とwebサイトの案内

「CKD診療ガイド」(東京医学社)
腎臓内科を専門としない医師、コメディカルの人向けの内容。

「透析導入テキスト」(南江堂)
血液透析が将来必要と言われた方が、いかに血液透析導入を遅らせるか、また、導入になったときにはどうすればよいかをわかりやすく説明。慶應義塾大学病院中央透析室のスタッフが書いています。

「腎臓ネット」外部リンク
腎臓病の基本的な知識がわかりやすくまとまっています。

「日本慢性腎臓病対策協議会」外部リンク
慢性腎臓病に関する最新の情報が書かれています。


糸球体腎炎

一覧へ戻る

血液透析


↑PAGE TOP