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慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

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副甲状腺機能亢進症

概要

副甲状腺とは?

副甲状腺は、甲状腺の裏側にある小さな米粒大のホルモンを出す臓器です。左右に上下2つずつ合計4つあります。別名、上皮小体(じょうひしょうたい)とも呼ばれます。副甲状腺ホルモン(Parathyroid hormone、略してPTHと記載されます)というホルモンを出します。

PTH(ピーティーエッチ)は何をするの?

一般に、ホルモンはある臓器から分泌されると、血液に乗って体の中のある特定の場所で作用をはたらきかけます。PTHは、体の中のカルシウム(Ca)のバランスを整えるホルモンです。食事から摂取したカルシウムが体の中に入ると、その99%は骨に蓄えられます。PTHは、血液中のカルシウムが不足すると骨に作用してカルシウムを蓄えから放出させます。また、腎臓において排泄されるカルシウムを取り戻す作用もあります。総括すると、PTHは体の中の骨や腎臓にはたらきかけ、カルシウムをプラスのバランスに持っていくはたらきをすると言えます。

副甲状腺機能亢進症ってどんな病気?

副甲状腺機能亢進症とは、何らかの原因によりPTHが過剰に分泌される病態を言います。血液中を流れるPTHの量が増えるので、採血でPTHの値を測定することで診断できます。副甲状腺に腫瘍ができ、その腫瘍がたくさんホルモンを作ることによりPTHが高くなった病態を、原発性副甲状腺機能亢進症(げんぱつせいふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)と言います。副甲状腺そのものに病気の根源があることから"原発性"という語が頭につきます。必要以上にホルモンの作用が出てしまいますので、血液中のカルシウムは増加します。採血ではCaの値が高くなり、高Ca血症(こうカルシウムけっしょう)を呈します。一方、副甲状腺以外に腎不全などカルシウムバランスをマイナスにする病気があり、そのバランスを戻そうとPTHが過剰に分泌される場合もあります。このように副甲状腺以外に病気の根源があり、二次的にPTHの量が増えた病態は、二次性副甲状腺機能亢進症(にじせいふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)と言います。以下は、原発性副甲状腺機能亢進症について述べていきます。

症状

どんな症状から発見されるの?

原発性副甲状腺機能亢進症の症状は、高Ca血症によるものが中心になります。初期症状としては、イライラ感、だるさ、食欲低下など一般に体調不良で出る症状が出ることが多く、吐き気や腹痛など胃腸症状が強く出ることもあります。高Ca血症の程度が進むと、尿量が増え、脱水になります。腎臓の機能も低下します。治療がなされないままでいると、昏睡状態になることもあり、生命の危機に及びます。高Ca血症があっても、症状が出ない場合もあります。PTHは高Ca血症を招くだけでなく、骨からCaを奪い骨の破壊が進むため、骨のマーカーであるアルカリホスファターゼ(Alkaline phosphatase、略してALPと記載されます)の値が上昇します。そのため無症状であっても、採血検査で、高ALP血症(こうエイエルピーけっしょう)として発見されることがあります。この病気が長く続くと、骨密度(こつみつど)が低下し、いわゆる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の状態になり骨折を起こしやすくなります。また、骨から放出されたカルシウムは腎臓や角膜など様々な場所に沈着します。腎臓に沈着したカルシウムは腎結石(じんけっせき)となり、腎結石としてこの病気が発見されることもあります。

診断

原発性副甲状腺機能亢進症が疑われたらどんな検査をするの?

まず、採血でCa値、PTH値を測定します。高Ca血症かつ高PTH血症があれば、この病気と診断されます。続いて、副甲状腺に腫瘍があるかどうかの検査を行います。一般的には、頚部の超音波検査を行い、甲状腺の裏側にある腫瘍を探します。CT(シーティー)検査でも腫瘍を探すことができます。また、シンチグラムというアイソトープを使った検査も行います。シンチグラムでは、ホルモンを過剰に作っている場所にアイソトープの強い集積がみられます。腫瘍が小さすぎて超音波検査などで見つからない場合や腫瘍は見られているがそれが副甲状腺ホルモン(PTH)作っている腫瘍かどうか知りたい場合に役に立つ検査です。90%近くのケースでは、副甲状腺に単一の腫瘍が見つかりますが、副甲状腺4つがすべて腫れていることがあります。後者は、過形成(かけいせい)と呼び、副甲状腺腫瘍と区別されます。またごくまれに、副甲状腺以外の場所に副甲状腺ホルモンを過剰に分泌する腫瘍ができることがあります。異所性副甲状腺腫瘍(いしょせいふくこうじょうせんしゅよう)と呼びます。副甲状腺以外の場所にある腫瘍の同定には、シンチグラムが有効です。

病気の原因は分かっているの?

ほとんどの症例では、現在までのところ病気の原因は見つかっていません。ただ、一部の症例では遺伝子異常との関連が証明されています。多発性内分泌腫瘍症(たはつせいないぶんぴつしゅようしょう)という、複数の内分泌腺すなわちホルモンを作る臓器に腫瘍ができてくる病気があり、1型と2型2つのタイプがありますが、いずれも副甲状腺腫瘍ないし過形成を伴うことがあります。多発性内分泌腫瘍症は、英語名multiple endocrine neoplasiaを略して、MEN(メン)と呼ばれます。とくにMEN 1型では、90%近くの症例で副甲状腺機能亢進症が見られます。MENは、原因となる遺伝子異常が分かっています。ただし、この遺伝子異常だけで発症するのではなく、後から別の遺伝子異常が加わることにより腫瘍ができてくるので、発症年齢や腫瘍ができる場所には個人差があります。副甲状腺以外に、内分泌腺の腫瘍が見られた場合には、MENの遺伝子検査をすることが勧められます。

治療

どんな治療法があるの?

まず2つに大別して考えます。副甲状腺の腫瘍そのものに対する治療と副甲状腺機能亢進症によって起きてくる高Ca血症などの症状に対する治療です。高Ca血症は、程度が強いと生命の危機に及ぶ場合もあるので、治療を急ぐ必要があります。点滴などで水分を負荷して血液中のCa濃度を下げると同時に、カルシトニンというCaを骨に戻すホルモンを注射する治療もあります。高Ca血症があっても、無症状であれば、そのまま経過をみることもできます。ただし、無症状でも骨粗鬆症や腎結石が進んで行くことがありますので、注意深く見ていく必要があり、場合によってはそれぞれに対する治療を行います。一方、副甲状腺腫瘍そのものに対する治療は、外科的切除が第一選択です。当院一般外科(内分泌外科)または耳鼻咽喉科で手術を行います。単一の腫瘍に対しては、腫瘍切除を行いますが、過形成の症例においては、4腺すべてが腫れているので、3腺+1腺の一部または4腺切除+1腺の前腕筋肉内への自家移植(じかいしょく)という治療を行います。

手術をしないとどうなるの?

手術を行わないと、病気の症状を引き起こしているPTHの値は下がりませんので、治癒はしません。Caの値、骨の状態などの経過を注意深く追いながら、それぞれの症状に対する治療を行っていくという形になります。副甲状腺腫瘍は、ほとんどが良性腫瘍で、悪性腫瘍はごくまれなため、症状のコントロールさえできていれば、外科的切除を急ぐ必要性は比較的低いと考えられています。内視鏡を用いて小さな傷口で行う手術も可能であり、外科的治療の時期、方法については、主治医とじっくり相談するとよいでしょう。


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