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慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

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腎高血圧発症病態解明・治療ワクチン開発グループ

構成メンバー

・研究メンバー

林 香

(助教、予防医療センター)

(平成16年卒)

畔上達彦

(助教)

(平成19年卒)

菱川彰人

(大学院生)

(平成24年卒)

・学内メンバー

中谷英章

(特任講師)

(平成8年卒)

中村真理

(助教、育児支援)

(平成8年卒)

研究理念

我々の研究室では、慢性腎臓病(CKD)や高血圧の発症病態を解明するとともに、新たな治療戦略の開発を目指しています。

【腎高血圧発症病態解明】

我が国においては、加速する高齢化社会を背景として、高血圧、糖尿病などの生活習慣病、更にそれらに随伴するCKDの増加は社会問題となっており、その対策は急務と考えられます。我々はこれまで、これらの疾患の病態において重要な役割を果たしているレニンアンジオテンシン系(RAS)とその抑制薬による持続的効果を中心に検討を行ってまいりました。更に、その機序を検討する過程において、エピゲノム調節の関与の一端を明らかにしました。
CKDや高血圧の治療は進行抑制が主であり、寛解や治癒は困難なのが現状です。我々は、エピゲノム調節の関与に着目することにより、これらの疾患の新たな発症病態を解明し、発症予防を中心とした先制医療の開発、あるいは治癒を目指した新たな治療法開発を目指した研究を目標としています。

【治療ワクチン開発】

生活習慣病は有病率が極めて高く、虚血性心疾患や脳卒中などの重篤な合併症を引き起こし、死亡やADL低下の原因となります。2012年の世界総死亡5600万人のうち68%にあたる3800万人が生活習慣病に起因する死亡であり、その数は依然として増加傾向です。また、医療経済の観点からも、生活習慣病の制御は必須の課題と考えられます。例えば、本邦では高血圧性疾患にかかる医療費が1兆8890億円にのぼり、医療財政を大きく圧迫しています。
生活習慣病自体は自覚症状を呈さず、長期間にわたる治療継続が必要となることから、服薬アドヒアランスが不良となりがちです。そこで、少ない服薬回数で長期にわたる治療効果が得られるような治療方法の開発が必要と考え、生活習慣病に対する新たな治療・予防戦略としてワクチンに着目しています。ワクチンはその性質から、数回の接種により、体内で目的分子に対する抗体を誘導・維持することが可能であり、その結果、長期間の治療効果が期待できます。我々の研究室では、ワクチンを用いて、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病から脳心血管合併症へと連続するメタボリックドミノに挑んでいきたいと思います。

研究活動

  1. 慢性腎臓病・高血圧発症病態解明
    我々の研究室では、高血圧やCKDの病態に重要な役割を果たしているRASに対する抑制薬の持続的効果について、これまで検討を行ってまいりました。RAS抑制薬は、高血圧の第一選択薬として臨床において広く使われている薬剤ですが、我々はこのRAS抑制薬の一時的な投与が、高血圧や動脈硬化、CKDに対する持続的効果をもたらす可能性、すなわち「メモリー効果」について検討し報告しております(Hypertension. 2009, Kidney Int. 2010, J Atheroscler Thromb. 2012)。
    このメモリー効果を担う機序として、我々は組織構築の変化およびエピジェネティックな変化に着目しております。最近では、尿蛋白バリアにおいて重要である腎糸球体上皮細胞(ポドサイト)に発現する転写因子Kruppel-like Factor 4(KLF4)が、ポドサイト形質制御遺伝子をエピジェネティックな機序を介して遺伝子特異的に調節していることを見出し(J Clin Invest. 2014)、更に、RAS阻害薬による尿蛋白抑制効果に一部KLF4を介したエピジェネティックな機序が関与していることを報告致しました(Kidney Int. 2015、図1)。
    近年、悪性腫瘍だけではなく生活習慣病の病態においても、エピゲノムの関与が注目されております。しかし何故こうしたエピゲノム変化が認められるのか、どのような機序で遺伝子特異的変化がもたらされるのか、未だ不明な点が多く、CKD発症・進展におけるエピゲノム調節機構に関して更に詳細な機序の検討を進めております。

慢性腎臓病・高血圧発症病態解明

  1. 生活習慣病治療ワクチンの開発研究
    我々はこれまでに、高血圧, CKD,動脈硬化,肥満などに対する治療ワクチンの開発に取り組んできました(Hypertens Res. 2012)。治療ワクチンの開発にあたっては、体内にある標的分子をターゲットとするため、上記以外の慢性疾患や治療薬の開発が乏しいあるいは難しい領域にも応用が可能です。また、従来の注射型ワクチンで生じうる皮膚局所での副作用や注射時の疼痛を避けるために、東京大学医科学研究所 炎症免疫学(清野宏教授)と共同研究を行い、粘膜を介した非侵襲的投与が可能な生活習慣病ワクチンの開発も行っています。当研究室では、現在の超高齢化社会に対して、個人の健康増進ならびに国民医療費の抑制に貢献するため、新たな治療ワクチンの開発に取り組んでいます(図2)。

生活習慣病治療ワクチンの開発研究

活動している学会

日本内科学会、日本腎臓学会、日本高血圧学会、国際高血圧学会、日本透析医学会、日本心血管内分泌代謝学会、高血圧関連疾患モデル学会、日本腎病理協会、移植腎病理研究会など

代表的な論文(2010年以降)

原著論文・総説(英文)

【腎高血圧発症病態解明】

  1. Hayashi K, Hishikawa A, Itoh H. DNA damage and epigenetic changes in kidney diseases - focused on transcription factors in podocytes. Curr Hypertens Rev. 2016; 12(2): 105-111.
  2. Hayashi K, Sasamura H, Nakamura M, Sakamaki Y, Azegami T, Oguchi H, Tokuyama H, Wakino S, Hayashi K, Itoh H. Renin-angiotensin blockade resets podocyte epigenome through Kruppel-like Factor 4 and attenuates proteinuria. Kidney Int. 2015; 88(4): 745-753. (Comments in Kidney Int. 88 (4): 668-70, 2015)
  3. Hayashi K, Itoh H. Transcription factors and epigenetic modulation - its therapeutic implication in chronic kidney disease (CKD). Arch Immunol Ther Exp. 2015; 63(3): 193-196.
  4. Oguchi H, Sasamura H, Shinoda K, Morita S, Kono H, Nakagawa K, Ishiguro K, Hayashi K, Nakamura M, Azegami T, Oya M, Itoh H. Renal arteriolar injury by salt intake contributes to salt memory for the development of hypertension. Hypertension. 2014; 64(4): 784-791.
  5. Hayashi K, Sasamura H, Nakamura M, Azegami T, Oguchi H, Sakamaki Y, Itoh H. KLF4-dependent epigenetic remodeling modulates podocytes and attenuates proteinuria. J Clin Invest. 2014; 124(6): 2523-2537. (Comments in Nat Rev Nephrol. 10(7): 362, 2014)
  6. Hayashi K, Sasamura H, Azegami T, Itoh H. Regression of Atherosclerosis in Apolipoprotein E-Deficient Mice is Feasible Using High-Dose Angiotensin Receptor Blocker, Candesartan. J Atheroscler Thromb. 2012; 19(8): 736-746.
  7. Sakamaki Y, Sasamura H, Hayashi K, Ishiguro K, Takaishi H, Okada Y, D'Armiento JM, Saruta T, Itoh H. Absence of gelatinase (MMP-9) or collagenase (MMP-13) attenuates adriamycin-induced albuminuria and glomerulosclerosis. Nephron Exp Nephrol. 2010; 115(2): e22-32.
  8. Hayashi K, Sasamura H, Ishiguro K, Sakamaki Y, Azegami T, Itoh H. Regression of glomerulosclerosis in response to transient treatment with angiotensin II blockers is attenuated by blockade of matrix metalloproteinase-2. Kindey Int. 2010; 78(1): 69-78.

【治療ワクチン開発】

  1. Kashima K, Yuki Y, Mejima M, Kurokawa S, Suzuki Y, Minakawa S, Takeyama N, Fukuyama Y, Azegami T, Tanimoto T, Kuroda M, Tamura M, Gomi Y, Kiyono H. Good manufacturing practices production of a purification-free oral cholera vaccine expressed in transgenic rice plants. Plan Cell Rep. 2016; 35(3): 667-679.
  2. Azegami T, Itoh H, Kiyono H, Yuki Y. Novel transgenic Rice-Based Vaccines. Arch Immunol Ther Exp (Warsz). 2015; 63(2): 87-99.
  3. Lamichhane A, Azegami T, Kiyono H. The mucosal immune system for vaccine development. Vaccine. 2014; 32(49): 6711-6723.
  4. Azegami T, Yuki Y, Kiyono H. Challenges in mucosal vaccines for the control of infectious diseases. Int Immunol. 2014; 26(9): 517-528.
  5. Azegami T, Sasamura H, Hayashi K, Itoh H. Vaccination against the angiotensin type 1 receptor for the prevention of L-NAME-induce Nephropathy. Hypertens Res. 2012; 35(5): 492-499.

総説・著書(日本語)

【腎高血圧発症病態解明】

  1. 林香,伊藤裕.腎疾患とエピジェネティクス.アンチ・エイジング医学.2016; 12(6): in press.
  2. 林香,伊藤裕.ポドサイトにおけるアンジオテンシン阻害薬を介したエピゲノム修復効果.医学のあゆみ.2015; 225(9): 906-907.
  3. 林香,伊藤裕.RAS阻害薬によるエピゲノム変化への修復効果.日本臨牀.2015; 73(11): 1933-1938.
  4. 林香,伊藤裕.ポドサイトにおけるエピジェネティック調整.腎と透析.2015; 78(3): 369-372.
  5. 林香,篠村裕之,伊藤裕.山中因子KLF4による糸球体上皮細胞遺伝子のエピジェネティック調整.Annual Review腎臓.2014: p117-122.

【治療ワクチン開発】

  1. 畔上達彦,清野宏.腸管粘膜バリアの破綻と疾患.Medical Science Digest.2016;42(6).
  2. 畔上達彦,清野宏.粘膜免疫.医学の歩み.2014; 249(5): 396.
  3. 畔上達彦,幸義和,清野宏.経口ワクチン.応用が拡がるDDS‐人体環境から農業家電まで.2013: p300-309.
  4. 篠村裕之,畔上達彦,伊藤裕.高血圧ワクチン療法の現状と課題.日本臨牀.2012; 70(9): 1627-1632.
  5. 篠村裕之,畔上達彦,伊藤裕.アンジオテンシン受容体ワクチン.日本臨牀.2011; 69(9): 1633-1638.
  6. 畔上達彦,篠村裕之,伊藤裕.高血圧・腎障害のワクチン療法.Life Style Medicine.2010; 4(2): 72-75.

受賞歴(2010年以降)

2016年

第5回万有医学奨励賞(林香)
第39回日本高血圧学会総会  高得点演題(畔上達彦)
26th Scientific Meeting of the International Society of Hypertension  Travel Grant(林香,畔上達彦)

2015年

慶應義塾大学三四会奨励賞(林香)
第58回日本腎臓学会学術総会  優秀演題賞(林香)
第3回Premium Hypertension Conference  優秀賞(畔上達彦)

2014年

日本ホルモンステーション第5回臨床医学研究塾  Clinical Investigator Award(林香)
第24回東京高血圧研究会  研究奨励賞(林香)

2013年

第56回日本腎臓学会学術総会  優秀演題賞(林香)
第9回宮崎サイエンスキャンプ  ポスター発表若手最優秀賞(林香)
第7回炎症・脂質代謝・メタボリックサーチフォーラム  Young Investigator Award(林香)

2012年

24th Scientific Meeting of the International Society of Hypertension  Asian-Pacific Society of Hypertension Young Investigator Fellowships Award(畔上達彦)
第35回日本高血圧学会総会  JSH Top10演題(林香)
第55回日本腎臓学会学術総会  会長賞(林香)

2011年

第21回東京高血圧研究会  優秀演題奨励賞(畔上達彦)
第34回日本高血圧学会総会  JSH Top10演題(畔上達彦)

2010年

CKDアワード  奨励賞(林香)
23rd Scientific Meeting of the International Society of Hypertension  Asian-Pacific Society of Hypertension Young Investigator Fellowships Award(畔上達彦)
14th International SHR Symposium  家森賞(林香)
14th International SHR Symposium  The SHR Award 2010(畔上達彦)
第33回日本高血圧学会総会  高得点演題(畔上達彦)


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